大企業で働くことの5つのメリットと3つのデメリット

キャリア

こんにちは。シャチホコです。

大企業病という言葉を聞いたことがあるだろうか。大企業病とは、人が多いが故に意思決定が行われるまでに多くの時間や工程を要する状態を指す。組織が大きくなることで、縦割りの組織形態になり、何かの意思決定を行うにしても関係者が多くて判断が先送りにされてしまう。また、組織の内部に官僚主義などが蔓延しているために、社内政治が行われるようになるなどのことが散見される。

一昔前であれば、このような大企業病のデメリットを飲み込んだとしても、定年までの雇用が約束されていたため、大企業で働くことに明確なメリットがあった。一方で、ここ数年で日本の経済環境は激変している。日立やソニーといった名だたる大企業が大規模なリストラを実施していることにわかるように、既に終身雇用は崩壊しているのだ。それはつまり「大企業で働いていれば安定」というこれまで常識とされてきた概念が崩壊していることを意味している。今現在、大企業で働いている人も、転職活動で大企業で働くことを目標としている人も、大企業のメリットとデメリットをきちんと把握する必要がある。この記事では、そんな大企業で働くことのメリットとデメリットを簡潔に解説していく。

大企業のデメリット5選

早速ではあるが、大企業で働くことのデメリットとは何であろうか。なんとなく、「縦割り組織」「意思決定が遅い」というイメージはあるかも知れないが、改めて聞かれると答えるのが難しいだろう。大企業のデメリットを大きくまとめると、下記の5つになる。

  1. 経営者との距離が遠い
  2. 個人の適性を考えてもらえない
  3. 評価されにくい
  4. 短期的視点での成果が求められる
  5. ダメなことが改善されない

それぞれについて、解説していこうと思う。

デメリット1:経営者との距離が遠い

結論から言う。大企業では、経営者と末端の社員までの間に、中間管理職を挟みすぎて、社長が現場に対して何を求めているかを直接知ることができない。

僕の価値観においてもそうだが、「この人についていきたい」や「この人のようになりたい」というのは、仕事において大きなモチベーションになる。日本の大企業においては、ベンチャーライクなバックグラウンドを持った大企業を中心に、カリスマ的な社長が多く存在している。例えば、ソフトバンクの孫正義、楽天の三木谷浩史、ファストリの柳井正といった社長はその典型例だろう。学生時代に彼らの著作を読み、感銘を受け、会社に入社したという人も多く存在する。

しかし、実際に入社してみると、自分が担当している業務や感じている現場の課題に、社長の意見を聞ける機会など、まず存在しない。そもそも出会うことや、すれ違うことさえも稀だ。大きな組織の中で、社長の意見を現場まで伝えるのが、中間管理職の存在意義なのだが、中間管理職も多く存在しており、社長から離れる距離に比例し意見は薄まっていく。当然、上司が部下に伝える意見は自分が作った意見ではなく、伝言ゲームで落ちてきた指示なので、建前のコミュニケーションが生まれてしまう。

デメリット2:個人の適性を考えてもらえない

結論から言う。大企業では、個人の適性やキャリアプランなど考慮されない。なぜなら、人が多すぎるため、一人一人の適性やキャリアプランを考えた人材配置をする余裕などないからである。君が社長だとしよう。50人の社員の適性やキャリアプランを考えるのと、10,000人のキャリアプランを考えるのを想像して欲しい。後者では、そもそも名前も顔を覚えることなどないだろう。当然、人材配置を司る人事部においても同じように、個人のキャリアや適性を考えている暇などないのである。

そのため、人事異動は玉突き事故のように、空いたポストを埋めるためのアミダクジのような異動になる。大企業においては、社員は歯車やパーツにしか過ぎない。そして、悲しい事実だが、そのパーツや歯車は代替が効くものなのだ。それは、そのポジションにそれだけ裁量が与えられていないからこそ起こることである。

デメリット3:評価されにくい

結論から言う。大企業においては、相対評価となることが多い。同じ役職の人間を並べて優劣をつけるのだ。そのため、個々人の絶対的な実績よりもライバルによって自分の評価が変わってしまうのだ。例えば、君が営業だとして目標が達成できていなくても周りが無能であれば、君は良い評価がつく。一方で、目標に対して120%の達成率でも他の1人が121%だった場合、君の評価は前者よりも低くついてしまう可能性がある。

本来であれば、目標達成の高い順に上から評価がつくべきなのだが、そこまで個々人の実績や頑張りを評価できるほどの余裕が大企業にはないのである。

企業によって異なるが、僕の勤めている企業では部内の評定会議がたった半日で終わる。何百人もの1年の働きに対する評価が半日で決まるのだ。その人の目標に対しての実績、目標達成に向けたプロセスを評価しているとすれば、半日で終えることなど、物理的に不可能なはずだ。君が管理職になればわかるが、いかにシステマティックに評定会議が行われているかがわかる。そして、そもそも議論の対象にもならず、評価が決まる人間がほとんどであることに絶望を覚えるだろう。

デメリット4:短期的視点での成果が求められる

結論から言う。大企業は株主の期待に応えるために、短期的に成果が上がることに力を注ぐことになる。大企業は基本的に上場している場合が多い。つまり、毎年過去最高売上、利益を更新し続け、株主に前年を上回る配当を出し続けることが宿命付けられている。株主の期待に応えられず、出資してもらえなければ、株価は落ちる。そうすればどんどん株は売られ、資金が回らなくなる。故に、上場した瞬間から企業は株主の期待に応えるために仕事をし続けることになる。

株主に「この企業は安泰だ。もっと投資しよう。」と思ってもらうには、四半期ごとの決算発表会で自分たちの好調ぶりをアピールし続けるしかない。そのためには、月次の実績を安定的に成長させることが最優先になる。当然、10年は疎か、5年先の目標設定より目の前の数字(業績)に良い影響を与えられるものにリソースを割区ことになる。

もっとドライなことを言えば、社長の成功は「任期の間の実績がどうであったか」によって決まる。つまり、10年後もサスティナブルな経営より、目の前の爆発的な実績が社長の評価につながるのだ。確かに、目の前の実績向上に向かって全力で努力することが長期的な成長につながるとも言える。しかし、そんな言葉はあくまで見せかけだと僕は思う。

デメリット5:ダメなことが改善されない

結論から言う。大企業は人が多いが故に、悪い文化が改善されにくい。大企業は大きいが故に、人が多い。大企業に勤める人の中には、古いものや悪い文化を好む人も存在する。例えば、終わりのない会議、長時間労働、承認の際の印鑑の文化がその代表例だろう。

大企業は資金が潤沢であるが故に、こういった悪い文化が残っていても致命傷にならない。むしろ、この文化を変えるためにかかる労力や時間が中小企業と比較すると、ものすごくかかるのだ。それを見て見ぬフリをする文化が根付いてしまっている。だからこそ、働かないおじさんは今でも生き残っているし、承認のためのスタンプラリーは存在しているのだ。

大企業のメリット3選

ここまで大企業のデメリットを解説してきたが、一方で大企業にはメリットも多く存在している。大企業のメリットは下記の3つとなる。

  1. 安定している
  2. 社会的信用や福利厚生が充実している
  3. やりがいが感じられる

それぞれについて解説していこうと思う。

メリット1:安定している

結論から言う。大企業は株主という第三者からの目があるからこそ、滅茶苦茶な経営になることはない。つまり、安定している。

特に上場をしていない中小企業においては、社長の能力がその企業のパフォーマンスを左右するといっても過言ではない。優れた社長であれば、上述してきたような大企業の課題を解決し、従業員の働きやすい環境を提供することができる。一方で、実情は未熟な社長も多く存在しているのが事実だ。社長が未熟であれば、大企業と比較しハラスメントは横行しやすくなり、また中小企業であれば、それを咎めるような組織が存在しないケースも多くある。

一方で大企業は先ほども述べた通り、上場した瞬間から、株主の期待に応えることがミッションとなる。そのため、ハラスメントを初め何か問題を起こし、企業の評価が落ち、株価が落ち、株主からの批判が集まることを恐れている。当然組織内に、組織風土を整える機関が存在するし、定期的にチェックが行われているのだ。

メリット2:社会的信用や福利厚生が充実している

結論から言う。大企業で働いているというだけで、社会的信用が厚くなる。具体的にいうならば、住宅ローンや車のローンが圧倒的に組みやすくなる。

僕の知人で興味深い話がある。僕の知人は大手メーカーに5年勤めた後に独立し、自分で事業を開始した。そのときに一番の衝撃だったのは、クレジットカードの審査に通過しなかったということらしい。当然、それまではクレジットカードの審査に落ちるということはなかったので、いかに自分がこれまで企業の看板に助けられてきたかを身に染みて感じた経験だったようだ。結婚においても同様に、配偶者の家族に大企業に勤めていると言うだけで、印象がよくなる。

また、大企業ならではの福利厚生が充実しているというのもメリットとして存在する。大企業においては、中小企業と比較し手当が多い。住宅手当、結婚手当等々といった手当が代表的だろう。また、直近では在宅勤務となり、電気代やインターネット料金などプラスでコストがかかることを考慮し、リモートワーク手当を導入する企業が出てきたが、それも大企業の導入が多く見られる。

メリット3:やりがいが感じられる

結論から言う。自分のやりたい職種に辿り着ければ、やりがいを感じることができる。大企業であると、顧客の数が多い。例えば自分が携わったサービスが既に500万人のユーザに使われているとしよう。自分が企画した新たな機能をリリースしたら、500万人がその機能を利用することになる。そしてTwitterやInstagramにそのレビューや感想がポストされる。そこにはポジティブな反応もネガティブな反応もあるだろうが、自分の作ったものを多くの人が使ってくれるのは、「純粋に嬉しい」のだ。この多くの顧客を抱えているということは、大企業におけるやりがいとなると僕は思う。いくら自分が泥臭い仕事をしていたとしても、自社のサービスが使われていたり、ニュースで取り上げられていると嬉しく思う。これは大企業ならではのメリットであると僕は考えている。

僕たちはどうすべきか?

これまで大企業のメリットとデメリットを述べてきたが、最終的に僕たちはどうすればいいのだろうか。その答えは「自分でベストだと思う選択をする」しかない。大切なのは、大企業、中小企業、フリーランスのそれぞれのメリットとデメリットを知ることだと僕は思う。

自分が今働いている環境が全てだと決めつけずに、様々な働き方があることを知り、視野を広げることだ。働く環境が変われば、僕は人生が変わると考えている。働く環境の多様性を知れば、僕は人生の選択肢を増やすことができると考えている。この情報を常に収集し続けることだ。

その方法として僕がおすすめするのは、定期的に転職エージェントと面談をすることだ。

まだ転職エージェントに登録していない人向けに、転職エージェントについて簡単に解説する。

転職活動を始めると、転職サイトと転職エージェントと2つが存在することに気づくだろう。

転職サイトと転職エージェントの違いは?

ここで、君たちがすべきことは、転職エージェントに登録することだ。転職サイトには登録しなくてもいい。転職サイトと転職エージェントの違いは、下記の通りだ。

  • 転職サイト:自分で公開求人を見て、興味のある求人に応募する
  • 転職エージェント:転職のプロが君に合った求人を提案してくれる

転職エージェント利用の際に気をつけること

転職エージェントのビジネスモデルは、転職希望者が企業に転職したタイミングで初めてエージェントに報酬が入る。君たち転職希望者には全く費用が発生しない仕組みになっている。逆を言えば、転職が成立しない限り、転職エージェントに報酬が発生することはない。故に、転職エージェントは基本的に転職することを勧めてくる。

また、その中でも転職エージェントにとって楽な転職は「給与が下がる転職」だ。転職先の企業にとっては、他の企業で高い給料をもらっていた優秀な人材が手に入るため、合意がしやすい。故に、安易に給与が下がる転職を提案してくるエージェントには注意が必要だ。

転職エージェントをうまく利用する

上記の注意点を踏まえ、転職エージェントとはうまく付き合おう。

まずはどんな企業がどんな求人を出しているのか。今のトレンドの業界、求められているスキルをエージェントから情報収集するのがいい。その情報を得るだけで自分の市場価値をある程度測ることができる。第二新卒は少子高齢化が進む日本においては、マーケットとしてかなり熱い。エージェントも親身になって相談に乗ってくれるはずだ。

まとめ

先日、近畿大学の卒業式で楽天の三木谷浩史 社長が講演している動画を見た。その中で、世の中に変化が起こる速度が加速度的に上がっていることを話していた。「30年で起こりそうなことは、10年で起こる。10年で起こりそうなことは、3年で起こる。3年で起こりそうなことは、1年で起こる。」という話が印象に残っている。

確かに、1年前に誰がZoomやTeamsを駆使し、場所に捉われないリモートワークの環境が当たり前になると思っていただろう。また、10年前にECで注文したものが翌日に届くという世界を誰が想定していただろうか。これは何もテクノロジーのみに言えることではない。経済環境も大きく変化をしている。日本の上場企業を全ての時価総額よりも、GAFAM5社の時価総額の方が高いのだ。日本における世界のプレゼンスはどんどん落ちるだろう。

この環境下で、「大企業にいれば安泰」だと思っている人がまだかなり多い。自分の身は自分で守らないといけない。一生を今の企業で終えることを難しいとマインドセットし、自分のキャリアプランを自分で考えていく必要がある。そのためには、ともかく行動あるのみだ。行動しないと、人生に変化は起きないのだ。

君の成功を心から祈っている。

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