「出世したくない」という考えのデメリット

キャリア

こんにちは。シャチホコです。

働き方改革の推進、終身雇用の崩壊、副業解禁といった環境の変化に伴い、会社員の収入の得方が変わりつつある。具体的に言えば、これまで会社員の収入=給与収入だけだったが、会社員の収入=給与収入+事業収入(副業での収入)にシフトしつつあるのだ。

副業である程度の収入が得られ始めると、「本業はほどほどにしておこう」と考える人は多い。それに伴い、出世(管理職になること)を希望する人が年々減っている。若手の意識調査では、「管理職を希望するか」という調査に対し、2010年は「希望する」が55.8%だったのに対し、2016年では31.9%まで減少している。しかし、「出世をしないこと」にはデメリットがある。そのデメリットをこの記事では解説していく。

若手が出世したくない2つの理由

では、若手が出世を希望したくない理由はなんであろうか。大きく下記の2つに分けられる。

理由1:管理職という役割の存在意義が見出せない

1つ目は管理職という役割自体への疑問だ。そもそも仕事の専門性も多様性も進む中で、上司がすべての業務に精通することは不可能だ。そのため、部下が困ってアドバイスを求めてきても適切な指示や助言を返すことができない。

部下からすれば、上司の言うとおりにしても、成果が上がるとも思えない。むしろ余計な管理やプレッシャーをかけてくるだけの上司に存在価値を見いだせないのだ。

理由2:コスパが悪い

管理職になれば、現場では交わらない経営幹部から成果に対するプレッシャーをかけられる。また、部下がやりきれない仕事を引き受けたり、部下が起こした問題の火消しを求められる。部下から見ると、今の管理職は厳しくなるビジネス環境のしわ寄せを一身に抱え込まされている存在に見えているのだ。

それにもかかわらず、それに見合うだけの報酬を得られない。これお金という報酬だけでなく、管理職だからこそのやりがいが見えてこない。自分の生活を犠牲にしてまで、そんな負荷を背負う存在にはなりたくない。これが2つ目の理由なのだ。

出世しないことのリスク

若手が出世したくない理由を読んで、納得した人は多いだろう。しかし、結論から言えば「出世しないということは、会社にいられなくなるリスクが上がる」ということを理解しておかなければならない。つまり、40-50代の人間が20-30代と同じような働き方はできないということだ。会社にいられなくなる理由は、下記の2つだ。

  1. どんどん居心地が悪くなるから
  2. 真っ先にリストラの対象にされるから

それぞれの理由について解説していこう。

リスク1:出世しないと、どんどん居心地が悪くなる

自分の同期や後輩が自分の上司になる

20代や30代のうちにはなかなか想像できないかも知れないが、40代や50代になると、自分の同期や後輩が自分の上司になるということが起きる。ただでさえ、上司には不満を持っている人が多い中で、同期や後輩がその上司の立場になったらどう思うだろう。想像以上に辛いのだ。

実際に外資系企業で次のようなケースがあった。出世競争で負けたAさんを自主退職に追い込むために、後輩だったBさんの配下に異動させた。Aさんのプライドはその状況を許せず、自主退職した。こういうことが起こりうるのだ。

柔軟性が高い若手たちがライバルになる

管理職の立場にならず、現場で実務を続けていれば20代や30代といった若手たちがライバルになってくる。当然君が40-50代になるころには、ビジネスの環境は変化し、今のやり方が通用しにくくなる。柔軟性の高い若手たちに負けないように日々自分をアップデートし続ける努力が必要になるのだ。

野球でもそうだが、実務にはピークというものがある。会社員でいえば、30代が一つのピークにあたるのだが、ピークを過ぎた状態で若手たちと競争するのは非常に辛い。

若手・同期たちから「あいつは仕事ができない」という目で見られ続ける

職場の人間はどんどん循環していく。君が実務をバリバリに牽引していた時代を知っている人がいれば良いが、いずれは知らない人に囲まれることになる。新しく入ってきた新入社員や中途社員から見れば、「あの歳で出世していない=あの人は仕事ができない人だ」というレッテルを貼られることになる。

本人が「僕はあえて管理職にはなりたくないんだ」といくら言っても、負け惜しみにしか聞こえなくなる。こうすると周りからは、「仕事ができないおじさん」として軽んじられ、周りから協力を得にくくなり業務で成果を上げるのが難しくなっていく

リスク2:真っ先にリストラの対象にされる

20代より40-50代の方が給与が高い

年功序列が崩壊しているとはいえ、まだ20代より40代の方が相対的に年収が高い傾向にある。そのため、企業が業績不振によるリストラを敢行すれば、真っ先にリストラの対象になる。想像して欲しい。君が社長だとして、「若くて給与も高くなく熱意のある社員」と「歳をとっていて、最低限の仕事しかしないのに給与の高い社員」のどちらをリストラするだろうか。答えは明確だろう

40-50代の非管理職には未来がない

40-50代の時点で非管理職の場合、社内での立ち位置は「出世レースで負けた人」となる。そうなると、会社からすると扱いにくい存在になるのだ。なぜなら、年下の上司からすれば年上の部下は当然動かしにくい。

また、新しいことを始めるとなった時に、若手と比較するとどうしても吸収速度や順応速度は遅い。そんな人間がここからバリバリ仕事をして、会社に貢献してくれる可能性があるだろうか。この答えも明確だろう。

仕事に対する3つのスタンス

ここまで出世しないことでのリスクを解説してきたが、一方で管理職になるということは当然大変なことでもある。最後に、改めて仕事にどのようなスタンスで向き合うべきかについて解説をしていく。

スタンス1:出世することを目的にしない

結論から言う。出世することを仕事の目的とするのは、よくない。確かに出世すれば年収は増え、社会的な立場や世間体も上がっていく。しかし、お金や見栄だけのモチベーションは継続しない。なぜなら上には上がいるからだ。

それよりも、自分なりに出世する理由を持つことが大切なのだ。例えば、出世すれば裁量が与えられる。自分がやりたいことを実現するためには、この裁量が重要になる。会社員である以上、組織で生きることになる。役職が上がれば上がるほどこの裁量が与えられ、そして周りから重宝され、仕事が進めやすくなるのだ。

スタンス2:本業も副業も全力でやる

結論から言う。本業をそこそこで副業もそこそこで、そこそこの年収を得たいという戦略はいつか淘汰される。なぜなら、本業も副業もそこそこで通用するほど甘くないのだ。つまり、二兎を追う者は一兎をも得ずという構造になる。だからこそ、本業も副業も全力でやることをオススメする。そして全力でやればやりがいや楽しさを感じられることにもなるのだ。

スタンス3:裁量を持ちたいと思える仕事を選ぶ

結論から言う。君が出世したくないと思うのは、君の働く環境がよくない。「この会社で裁量を持って自分がやりたいことを実現したい!」と思えるような会社で働くべきだと僕は思う。

なぜなら、君はこれから30-40年は働き続けることになる。そして、1週間の内70%は仕事をし、多くの時間を捧げている。この70%の時間が充実していなくて、君の人生が充実するはずがない。だからこそ、出世したいと思えるような環境で働くべきなのだ。

転職エージェントに相談する

既に述べた通り、「出世したくない」という考えは通用しなくなる。であれば、「出世したい」と思えるような会社で仕事をすることが大切だ。そのため、色々な業界や企業の情報を収集し、視野を拡げることが大切だ。

ただ、1人で業界や企業の動向を情報収集するのはかなり大変だ。そこで転職エージェントの活用を僕はおススメする。なぜなら、転職エージェントは各業界や企業のリアルな情報について熟知しているし、ネットでは拾えない様な情報も教えてくれるからだ。つまり、情報収集において必ず君の役に立ってくれるのだ。

まだ転職エージェントに登録していない人向けに、転職エージェントについて簡単に解説する。

転職活動を始めると、転職サイトと転職エージェントと2つが存在することに気づくだろう。

転職サイトと転職エージェントの違いは?

ここで、君たちがすべきことは、転職エージェントに登録することだ。転職サイトには登録しなくてもいい。転職サイトと転職エージェントの違いは、下記の通りだ。

  • 転職サイト:自分で公開求人を見て、興味のある求人に応募する
  • 転職エージェント:転職のプロが君に合った求人を提案してくれる

転職エージェント利用の際に気をつけること

転職エージェントのビジネスモデルは、転職希望者が企業に転職したタイミングで初めてエージェントに報酬が入る。君たち転職希望者には全く費用が発生しない仕組みになっている。逆を言えば、転職が成立しない限り、転職エージェントに報酬が発生することはない。故に、転職エージェントは基本的に転職することを勧めてくる。

また、その中でも転職エージェントにとって楽な転職は「給与が下がる転職」だ。転職先の企業にとっては、他の企業で高い給料をもらっていた優秀な人材が手に入るため、合意がしやすい。故に、安易に給与が下がる転職を提案してくるエージェントには注意が必要だ。

転職エージェントをうまく利用する

上記の注意点を踏まえ、転職エージェントとはうまく付き合おう。

まずはどんな企業がどんな求人を出しているのか。今のトレンドの業界、求められているスキルをエージェントから情報収集するのがいい。その情報を得るだけで自分の市場価値をある程度測ることができる。第二新卒は少子高齢化が進む日本においては、マーケットとしてかなり熱い。エージェントも親身になって相談に乗ってくれるはずだ。

下記の記事で転職エージェントを使うべき理由を簡単にまとめているので参考にしてみて欲しい。

まとめ

「出世したくない」と考えている人は、管理職になってアップする年収とそれと引き換えに与えられる責務を比較して「コスパが悪い」と判断し、出世したくないと考えている。一方で、本当に注意すべきなのは、出世しないと今の会社から見離される時がくるということだ。

日本における終身雇用は崩壊し、年功序列も崩壊する。日系企業の多くが、ジョブ型雇用を推進し、成果主義へのシフトが加速する。そうなればより一層「最低限の仕事しかしない40-50代」は淘汰されるのだ。

このリスクを踏まえた上で、再度なぜ出世したくないかを考えてみてほしい。そして、仕事のあり方や人生で成し遂げたいことについて考えてみて欲しい。新卒でいまの会社に入社して、そこで一生を終える義務など存在しない。むしろこれからは1社で一生を終えられるほど甘くない。1社で勤め続けていることがリスクになる時代が到来するのだ。

その中で転職エージェントに相談し、自分の働き方ややりたいことにマッチした企業を見つけていくべきだろう。出世したくないと思う理由は、出世したくない環境で働いているからなのかも知れない。

君の成功を心から祈っている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました