ジョブ型雇用とは?ジョブ型雇用のメリットとデメリット

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こんにちは。シャチホコです。

ジョブ型雇用という言葉を聞いたことがあるだろうか。今後の転職市場のトレンドとなるキーワードである。ジョブ型雇用とは欧米型雇用とも言われる通り、外資系企業に多く見られる雇用形態である。いわゆる、年功序列の人事評価制度となっており、実力次第では若くから重要なポストを任されることになる。一方で、成果をあげられなければ容赦無く、減給・降格・解雇のリスクがつきまとう。

面白い話がある。Googleに勤務している人に実際に聞いた話なのだが、パフォーマンスが低い人が「明日から来なくていい」と告げられる、映画の世界のようなことがGoogleでは日常的にあるようだ。解雇を告げられた従業員は、その日に会社からの貸与物を全て回収され、その場で退職の荷造りをさせられるとのことだった。

上述したようなエピソードは、日本では考えられないようなことだろう。しかし、そんなことが起こりうる雇用形態がすぐそこまで迫ってきている。つまり、日本企業においても完全な実力主義になる日は近いということだ。この大きな変化を理解している人は実は少ない。この記事では、ジョブ型雇用におけるメリットとデメリットについて、解説をしていく。

ジョブ型雇用とは?

ジョブ型雇用をざっくりと定義すると、仕事内容などを明確に定義し、仕事内容と報酬をキッチリ結びつける雇用形態である。ジョブ型雇用に対して、日本では長らくメンバーシップ型雇用という雇用形態が採用されてきた。まずはこれまでのメンバーシップ型とジョブ型の違いについて解説していこう。

メンバーシップ型雇用

メンバーシップ型雇用の特徴は、総合職で一括採用、年功序列、終身雇用、転勤・異動ありといういわゆる日本型の大企業に見られる雇用形態だ。従業員と会社の関係性は下記の通りとなる。

  • 従業員:この会社のメンバーとして指示内容に従事します
  • 会社:定年まで面倒を見るから、言われた通りに仕事してね

会社は、人があり気でそれに合わせて仕事を作っていく。当然、新しい事業を起こす場合や、注力領域を作る際には、会社内の人間を異動させ、対応することとなる。

ジョブ型雇用

一方でジョブ型雇用とは、ジョブディスクリプション(職務記述書)というものに沿って、与えられたミッションを決められた報酬で行うこととなる。ジョブディスクリプションには、仕事内容、必要スキル、責任範囲、労働条件、期待目標、上司・部下などが明確に定義されている。従業員と会社の関係性は下記の通りとなる。

  • 従業員:約束通りの仕事をします
  • 会社:約束通りの待遇と報酬を提供します

仕事を遂行するために、必要なスキルを持った人材を連れてきて、雇用契約するという様なイメージだ。主に中途採用で専門性の高い人材を集めて、業務を遂行できる環境を創出することとなる。

ジョブ型雇用がトレンド化

結論から言う。近年このジョブ型雇用が日本企業の中でもトレンドとなっている。その背景としては、日本の労働環境の課題があり、それを解決するための手段としてジョブ型雇用を経団連が推し進めているのだ。日本の労働環境の課題は、下記の通りである。

  • テレワークの推奨
  • 生産性が低い
  • 人材不足
  • ダイバーシティ
  • 同一労働、同一賃金問題

経団連は上記のような問題を一気に解決できる手段として、ジョブ型雇用を推奨しているのだ。

ジョブ型雇用へのシフトをはじめとした転職市場におけるトレンドについては、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。

従業員からみたジョブ型雇用のメリット

会社員である君が気になるのは、ジョブ型雇用にシフトすることで、君にどのような影響があるのかだと思う。結論から言うと、ジョブ型雇用には、メリットもデメリットも存在する。まずは5つのメリットから解説していこう。5つのメリットとは、下記の通りである。

  1. 仕事を選べる
  2. やった分だけ増える給料
  3. 在宅勤務と好相性
  4. 忠誠心よりスキルで評価される
  5. 転職が自由になる

それぞれについて、解説していこう。

メリット1:仕事を選べる

結論から言う。ジョブ型雇用では、自分で自分の仕事内容を選択し、キャリア構築ができる。メンバーシップ型雇用においては、基本的に新卒一括採用され、「総合職」という雇用のされ方が主流となっている。この総合職とは、「何をするかわからない、なんでも屋」ということだ。

例えば、営業から始まり、企画にいき、人事というキャリアを歩むことだってあり得る。一方で、ジョブ型雇用では基本的に「専門職」と同じような採用となる。そのため、入社してから「僕がしたかったのは、こんなことじゃない。」というアンマッチを防ぐことが可能となるのだ。基本的に同じ職種を続けることになるので、専門性は歳を重ねるごとに深まり、市場価値も高くなる。

メリット2:やった分だけ増える給料

結論から言う。ジョブ型雇用では、ジョブ(仕事)に対して給与が支払われるため、働かないおじさん問題が解決される。昔からあることだが、できる人間の元には仕事が集まるようになっている。あのおじさんより、業務量も難易度も高いのに、年齢が上という理由だけで自分の方が給料が低いという問題を感じたことはないだろうか?

ジョブ型雇用においては、そのような不条理はない。なぜなら、ジョブディスクリプションに定義されている業務を行えば良いので、もし仮に業務が追加になるのであれば、追加で給料を貰えないとおかしいからだ。難易度が高ければ高いほど、業務量が多ければ多いほど、比例して給料が上がる仕組みになっている。

メリット3:在宅勤務と好相性

結論から言う。ジョブ型雇用では、仕事の「成果」をあげていればいいため、在宅勤務と相性がいい。なぜなら、ジョブ型雇用では、どこで働こうが、何時間働こうが、どうやって働こうが、ジョブディスクリプションに記載された「成果」さえあげていれば良いという仕組みとなる。そのため周りが遅くまで残業しているのに忖度して、夜遅くまで残業する必要がない。

極論、上司の目が届く場所で仕事をしないといけないわけではないので、監視されることや通勤がストレスな人に対しては、ジョブ型雇用はフィット感があるだろう。

メリット4:忠誠心よりスキルで評価される

結論から言う。ジョブ型雇用で一番大切なのは、成果をあげるためのスキルだ。スキルを重視する結果、付き合い残業や長時間労働で会社への忠誠心を示す必要性はグッと下がる構造となる。「やってる感」より「スキル」で評価されることになるのだ。

成果を出していれば、余った時間をプライベートに割いていても肩身の狭い思いをしなくても済むだろう。また労働時間だけを見られて、過剰に業務を課されることもない。

メリット5:転職がしやすくなる

結論から言う。ジョブ型雇用の浸透に比例して、転職の流動性が高まるだろう。なぜなら、ジョブ型雇用が広まれば、会社側は新しい事業を始めるときには「中途採用をして、必要なスキルを持つ人材を雇用しよう」となるし、採用される側も自分ができることを自覚しているため、「自分のスキルをもっと高く買ってくれる会社がないか」という発想になる。

求人側も求職側も求める人材と提供できるスキルが明確になっていることで、中途採用でのマッチング機会が間違いなく増えるだろう。

従業員からジョブ型雇用のデメリット

ここまで聞くと、ジョブ型雇用においてはメリットしか無い様に聞こえるが、当然デメリットも存在する。ここでは、ジョブ型雇用における3つのデメリットについて解説する。3つのデメリットとは、下記の3つである。

個人の事情に関係のない給与

  • 事実上の非正規化?
  • 社内異動が困難になる
  • それぞれについて、解説していく。

デメリット1:個人の事情に関係のない給与

結論から言う。ジョブ型雇用への移行で各種手当が見直される可能性が高い。ジョブ型雇用になることで、これまでの給与体系は基本的に見直されると考えておくと良い。

イメージしやすいのは、外資系企業の給与体系だ。外資系企業の給与体系は、相対的に日本企業と比較すると高い。一方で、住宅手当、家族手当、といったような手当がないケースがほとんどだ。それも含めて、高い給与となっているのだ。ジョブ型雇用においては、単純に成果に応じた給与となるため、「独身」「家族がいる」といったような個人の事情に応じた手当がなくなるケースが多いのだ。

デメリット2:事実上の非正規化?

結論から言う。ジョブ型雇用では、「成果」が出せなければ、減給・降格・解雇がこれまでよりも身近な存在になると考えるべきだ。なぜなら、ジョブ型雇用は「成果」に対して給与が払われる。故に、「成果が見合ってないから、あなたに払う給料はない」というのが自然な流れとなるのだ。そのため、減給・降格・解雇といった存在が身近になると考えておくべきだろう。

雇用の流動性が高まるということは、裏を返せば「安定した正社員の身分」というものが失われるということでもある。減給・降格・解雇を逃れるには、ともかく市場価値の高いスキルを磨き続けるしか方法はないのだ。

デメリット3:社内異動が困難になる

結論から言う。ジョブ型雇用では、部署(職種)別に求められる人材像が十人十色となるため、社内異動が困難になる。例えば、企業内である事業への撤退が決まるとする。そうなると、その部署に勤めていた人たちは別の部署へ異動させてもらえることが、メンバーシップ型雇用では普通だろう。

しかし、ジョブ型雇用においては、部署(職種)別に求められる人材像やスキルが異なるため、その条件を満たしていなかれば基本的に異動は叶わない可能性が高い。

ジョブ型雇用にどう向き合うべきか

これまでジョブ型雇用のメリット、デメリットについて解説をしてきたが、結論、僕たちはジョブ型雇用にどう向き合うべきなのだろうか。結論から言うと、ジョブ型雇用は避けられないことを理解し、会社との関係性の変化に適応するしかない。

好きでも嫌いでも避けられない

結論から言う。ジョブ型雇用へのシフトは避けられないと僕は思う。ジョブ型雇用の推進には、様々な意見が飛び交っている。日本では解雇規制が厳しいであったり、中小企業ではジョブディスクリプションの作成が困難であるという背景から、ジョブ型雇用の浸透は部分的だという意見も多くある。

しかし、僕はジョブ型雇用は間違いなく浸透すると思う。なぜなら、今後少子高齢化が進むにおいて、日本企業がすべきことは「いかに優秀な国内人材流出を抑制し、海外の優秀な人材を獲得するか」となる。すでに国内の優秀な人材がGAFAMや外資系コンサルに流出している。この動きは間違いなく拡大し、国内人材がより雇用条件の良いグローバル企業へ流出することが予想されるのだ。その中で企業が競争力を保つには、「若い人間でも実力があれば稼げる環境の構築」が絶対条件になる。また、優秀な人材が中途採用で自社に来てくれる環境の構築が必要になる。

終身雇用が崩壊している現代において、新卒一括採用で定年まで勤め上げるという流れはすでに時代遅れだ。この環境を考慮すると、ジョブ型雇用の浸透は時間の問題であると思う。ジョブ型がいいとか、悪いとかそんなことを言っている暇はないのだ。

会社との関係性は変化していく

結論から言う。会社との関係性は親子からパートナーへシフトしていく。メンバーシップ型雇用では、会社が「ちゃんと面倒みるから、一生懸命がんばってね」という親のようなスタンスであったが、今後は「自分できちんと成果をだしてね」というパートナーへとシフトしていく。

従業員の立場としては「成果を出したのだからもっといい条件をよこせ」という交渉ができる反面、成果が出せなければポジションや給与は間違いなく悪化する。簡単に言えば「会社は従業員を守らない」というスタンスへシフトするということだ。いい給料が欲しければ、高いパフォーマンスを出せるようにスキルを磨かないといけない。従業員はより自由になると同時に、大きな責任を負うことになるのである。

最新の情報を転職エージェントから収集する

結論から言う。転職エージェントと定期的に面談を行い、最新の市場トレンド(熱い業界、求められているスキル等)の情報収集をすると良い。なぜなら、リアルな企業の情報を転職エージェントからもらうことで、仮に今後ジョブ型雇用が普及したとしても、定期的にキャリアプランをアップデートできるからだ。また、大手のエージェントであれば捻じ曲がった情報を君に伝えることはしない。

まだ転職エージェントに登録していない人向けに、転職エージェントについて簡単に解説する。

転職活動を始めると、転職サイトと転職エージェントと2つが存在することに気づくだろう。

転職サイトと転職エージェントの違いは?

ここで、君たちがすべきことは、転職エージェントに登録することだ。転職サイトには登録しなくてもいい。転職サイトと転職エージェントの違いは、下記の通りだ。

  • 転職サイト:自分で公開求人を見て、興味のある求人に応募する
  • 転職エージェント:転職のプロが君に合った求人を提案してくれる

転職エージェント利用の際に気をつけること

転職エージェントのビジネスモデルは、転職希望者が企業に転職したタイミングで初めてエージェントに報酬が入る。君たち転職希望者には全く費用が発生しない仕組みになっている。逆を言えば、転職が成立しない限り、転職エージェントに報酬が発生することはない。故に、転職エージェントは基本的に転職することを勧めてくる。

また、その中でも転職エージェントにとって楽な転職は「給与が下がる転職」だ。転職先の企業にとっては、他の企業で高い給料をもらっていた優秀な人材が手に入るため、合意がしやすい。故に、安易に給与が下がる転職を提案してくるエージェントには注意が必要だ。

転職エージェントをうまく利用する

上記の注意点を踏まえ、転職エージェントとはうまく付き合おう。

まずはどんな企業がどんな求人を出しているのか。今のトレンドの業界、求められているスキルをエージェントから情報収集するのがいい。その情報を得るだけで自分の市場価値をある程度測ることができる。第二新卒は少子高齢化が進む日本においては、マーケットとしてかなり熱い。エージェントも親身になって相談に乗ってくれるはずだ。

まとめ

何度も記載した通り、ジョブ型雇用にはメリットとデメリットが存在する。君がこの記事を見て感じることは「自分はジョブ型雇用に対応できるか」という不安だろう。しかし、メンバーシップ型雇用においてもメリットとデメリットが存在することを覚えておいてほしい。

つまり、ジョブ型雇用だろうが、メンバーシップ型雇用だろうが、その雇用形態に合わせた戦い方をするしかないということである。変化にいち早く適応し続けられるものだけが生存するのだ。君がどれだけ嘆いたところで、ジョブ型雇用へのシフトは避けられない。嘆いている暇があるなら、メリットとデメリットを踏まえた上で、どのような生き残り方をするかの戦略をいち早く考えるべきだ。

僕は、今後の会社員においては転職へのハードルが成功を左右する大きな要因になると考えている。なぜなら、会社にしがみついている人間は今後のトレンドの中では、間違いなく淘汰されるからだ。今の会社以外の環境においても通用する共通のスキルを身につけておくこと、そのようなスキルを身につけられるような環境に身をおくことが大切だ。今の会社でそれが実現可能であれば問題ないが、君の環境はどうだろうか?自分の環境を棚卸しすることから始めてみてほしい。

君の成功を心から祈っている。

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