年収の下がる転職をすべきでない3つの理由

考え方

こんにちは。シャチホコです。

転職活動している人からよく相談される内容として、「年収が下がっても転職すべきか」という相談がある。大前提として理解しておいてほしいが、転職は万能薬ではない。ワークライフバランスもよくなり、仕事のやりがいもあり、給料も上がるという転職は存在しない。

そのため、転職における成功とは「自分が手に入れたいものを手に入れられるか」だと僕は考えている。給料はその中の判断軸の一つであるが、君も既に理解している通り、生きていく上で生活水準に直結する項目であるため、非常に重要な要素である。

ただ、転職においては年収が下がる転職というのが当然存在する。その時に、どう判断すべきか迷うと思うのだが、結論から言うと年収が下がる転職はあまりおすすめすることができない。勿論、君がブラック企業に勤めていて、健康被害が及んでいる場合や長時間労働を強いられている場合は違う。伝えたいのは、年収が下がるということは、単に企業から受け取るお金が減るだけでないデメリットが存在することを理解して欲しいということだ。

この記事では、年収の下がる転職をする際のデメリットについて解説をしていきたいと思う。

年収の下がる転職はしてはいけない

結論から言う。年収の下がる転職をおすすめしない理由は、下記の3点だ。

  • リスクを背負うことになるから
  • 自分の唯一の資産である労働力を安売りすることになるから
  • 次の転職でも年収が下がる可能性があるから

それぞれについて簡単に解説していこう。

理由1:リスクを背負うことになるから

結論から言う。「一時的に年収は落ちるが、入社後のパフォーマンス次第で今以上の年収になる」といった条件付きの採用は、よく考えるべきだ。なぜならマッチングがうまくいかなかった時のリスクを企業ではなく、個人である転職者に取らせようとしているからだ。

転職後のギャップの第2位は「給与・待遇が悪かった」

エン・ジャパンが行ったアンケートによると、転職後のギャップとして第2位に輝いたのは「給与・待遇が悪かった」である。このように回答した人の割合が、なんと41%も存在する。約半数の人が、入社した後に思ったような給与や待遇にならなかったと感じているのだ。

転職活動中の面談の中で、次のような言葉をかけられることがよくある。「入社後のパフォーマンス次第で、早ければ1-2年で昇格できます。」「あなたは管理職候補です。」このような言葉を聞くと「自分は期待されているんだ」と思うが、実はこれは企業側のリスクヘッジなのである。転職経験者ならわかると思うが、こういった口約束というものは守られないケースというのが非常に多い。

よく考えてみて欲しい。パフォーマンス次第で1-2年で昇格可能であったり、管理職候補であるのは、別に君に限った話ではない。20代後半や30代前半であれば、殆どの社員に当てはまる言葉ではないだろうか。本当に欲しい人材であったら、最初から高年収でオファーを出したり、それなりのポジションを与えられるはずだ。

企業側のリスクヘッジ

では、なぜ企業は条件付きでオファーを出すのか。結論から言うと、採用のリスクヘッジをしているからだ。企業側からすると採用後のパフォーマンスはわからない。100人採用して、全員がパフォーマンスが高いということはなく、必ず一定数「失敗だった」という採用が生まれてしまう。それを回避するには、面接時に「怪しいな」と思う人材には条件付きオファーを出し、「できるだけ安く採用する」選択肢をとるのだ。ドライな言い方をすれば下記の通りである。

  • 満足できるパフォーマンスなら、良い待遇にすればいい
  • 満足できなければ、悪い待遇でいい(また転職するだろう)

このように考えているのだ。

すぐにパフォーマンスを発揮するのは難しい。

一方で、求職者の立場からすると新しい環境でいきなりパフォーマンスを発揮するのは難しい。なぜなら、成果を出すために必要な情報や資産が揃っていないからである。

  • キーパーソンは誰か?
  • 会社のビジネスモデル・組織がどうなっているか?
  • 業務の進め方の文化はどのような形か?

こういった情報が揃わないと、仕事でパフォーマンスを発揮するのは難しい。転職してみるとわかるが、知らないことばかりとなる。事務用品の置き場所、勤怠報告、社内イントラの使い方、経費精算、全てが新しくなる。新入社員の時の気持ちを思い出すとイメージがつきやすいかもしれない。すぐに会社に馴染んで成果を出せる人というのは本当に一握りなのである。

このような環境下で、「入社後にすぐにパフォーマンスを発揮できる」と断言できる人はなかなかいないだろう。断言できないということは、不確実な未来が待っているということだ。未来は不確実なのは仕方のないことだが、あとはそのリスクを会社が取るか、個人が取るかだ。僕はこのリスクは会社が取るべきだと思う。なぜなら会社は組織であり、体力がある。仮に1人や2人採用に失敗したとしても会社が潰れることはない。一方で転職者は個人であるため、失敗すると人生に与える影響は大きい。このように、マッチングがうまくいかなかった時のリスクは本来企業が取るべきなのである。

理由2:自分の唯一の資産である労働力を安売りすることになるから

結論から言う。労働力というのは、君がお金を手に入れるための唯一の資産だ。その資産を高く売るか、安く売るかで人生の充実度は変わる。自分の唯一の資産を安売りせず、高く売ること常に意識して欲しい。

働くということは、企業に自分の時間を売ること

多くの人にとって、自分の労働力(時間)と言うのは収益を生み出す唯一の資産である。この時間を1時間1,000円で売るか1時間10,000円で売るかで、生活水準は変わる。自分を安売りしてしまうと、人生の値段も安くついてしまう。企業で働くということは、君の限りある貴重な労働力(時間)を売っているということだ。

転職においては自分を高く売る

君が喫茶店を経営しているとしよう。いまよりも売上を上げようと思うと、単価を下げて販売個数を増やす戦略を取るだろう。もしくは、店舗を増やして顧客接点を増やすだろう。でも、労働においては、販売個数や店舗は増やすことができない。あくまで君1人しか存在し得ないのだ。単価(年収)を下げれば、多くのオファーがあるだろう。そして、あまり努力せずとも転職が叶うだろう。しかし、易きに流れてはならない。常に「自分を高く売る」という意識を心掛けてほしい。転職エージェントによって持っている求人情報は異なる。複数のエージェントと接し、君を高く買ってくれる企業に転職すべきだ。

理由3:次の転職でも年収が下がる可能性があるから

結論から言う。年収が下がる転職をすれば、次の転職においても年収が下がる可能性が高くなる。なぜなら、転職市場においては現職の給与水準も判断基準の一つとしてみられているからである。転職エージェントも、現職の年収をみて妥当な求人情報を提示することになる。

年収の高い人は優秀に見える

君はハロー効果という言葉を聞いたことがあるだろうか。ハロー効果とは人間の心理の1つで、対象物に対して後光を感じ取ると、対象の印象を歪めてしまう心理現象を指す。すごく簡単に言うと、年収1,000万の人をみるとその人に実力を知らないのに、なぜか優秀そうに見えないだろうか。

転職市場においては、現職の給料というのを判断軸としてみられる。例えば企業がそのポストに用意している年収が750万だとしよう。応募者が2人いて、1人は現在年収500万、もう1人は現在年収800万の場合、800万の人が採用される可能性が上がる。なぜなら、採用担当の立場からすると年収500万の人と800万の人とどちらが高いパフォーマンスを発揮するかはわからない。ただ、年収800万の人については、他の企業が800万という値を付けたファクトがあるのだ。だからこそ、現職の年収が高い人は転職先でも高い年収がつきやすいし、現職の年収が低い人は転職先でも低い年収がつきやすいのだ。

転職先が自分にマッチするかは不透明

既に上述した通り、転職して仕事をしてみないと、転職先と自分がマッチしているかはわからない。また、転職した後に結婚や子供ができる等のライフイベントによって、仕事に対する価値観が変わるかも知れない。そうなると、もう一度転職を検討することになるだろう。その際に、残業が少ない/フルフレックス等のライフワークバランスをとりやすい雇用条件を優先すれば、年収が下がる条件しか掴むことができないかも知れない。その際に少しでも良い条件を得るためには、現職の年収を可能な限り高い水準に留めておくことが大切なのだ。

どれくらいの人が転職で年収アップを実現できるのか

ここまで年収の下がる転職はすべきでない理由を解説してきたが、実際にどれくらいの人が転職で年収アップすることができているのだろうか。結論から言うと、40%以上の人が転職で年収アップを実現している。つまり、10人に4人は年収アップのチャンスがあると言うことなのだ。転職エージェントと会話する際に、年収が下がる案件をスコープから外しておけば、十分に年収アップは狙える。

ちなみに転職で年収を上げようと思うと、ともかく若い方が有利だ。超少子高齢化の進む日本においては、20〜30代の若い労働力は非常に希少価値が高い。「若さ」に価値を持って、主体的にキャリアを作り始めている人間は、すでに年収アップを手にしている。

転職の検討は早い方がいい。「石の上にも3年」ではないが、日本人は我慢を美徳とする文化がある。40代で高い年収をもらうために、若い時代を下積み期間だと思い、理不尽に耐えたり小間使いに耐えている人は多い。昔の日本ではそれでよかったのかもしれないが、今後はジョブ型雇用が一気に加速し、完全実力主義の社会がやってくる。そんな環境下で、いまのままでいいのかは是非再考してみてもらいたい。

ジョブ型雇用や転職市場のトレンドについては、下記の記事で解説しているため、是非参考にしてみて欲しい。

転職エージェントに登録する

ここまで聞いていただいて既に理解できたと思うが、転職活動事態にはリスクはない。むしろリターンしかないと僕は考えている。なぜなら、年収が下がるなら転職しなければいいし、転職エージェントと相談することで、市場で価値の高いスキルや、現職を生かしてキャリアプランを構築する参考にすることができる。

また、先ほども言った通り20〜30代の会社員は自分の市場価値をもっと早く知るべきだ。毎日安い給料できつい労働を強いられていることに文句を言っている暇があれば、さっさと転職エージェントに登録し、外の世界をみた方がいい。

まだ転職エージェントに登録していない人向けに、転職エージェントについて簡単に解説する。

転職活動を始めると、転職サイトと転職エージェントと2つが存在することに気づくだろう。

転職サイトと転職エージェントの違いは?

ここで、君たちがすべきことは、転職エージェントに登録することだ。転職サイトには登録しなくてもいい。転職サイトと転職エージェントの違いは、下記の通りだ。

  • 転職サイト:自分で公開求人を見て、興味のある求人に応募する
  • 転職エージェント:転職のプロが君に合った求人を提案してくれる

転職エージェント利用の際に気をつけること

転職エージェントのビジネスモデルは、転職希望者が企業に転職したタイミングで初めてエージェントに報酬が入る。君たち転職希望者には全く費用が発生しない仕組みになっている。逆を言えば、転職が成立しない限り、転職エージェントに報酬が発生することはない。故に、転職エージェントは基本的に転職することを勧めてくる。

また、その中でも転職エージェントにとって楽な転職は「給与が下がる転職」だ。転職先の企業にとっては、他の企業で高い給料をもらっていた優秀な人材が手に入るため、合意がしやすい。故に、安易に給与が下がる転職を提案してくるエージェントには注意が必要だ。

転職エージェントをうまく利用する

上記の注意点を踏まえ、転職エージェントとはうまく付き合おう。

まずはどんな企業がどんな求人を出しているのか。今のトレンドの業界、求められているスキルをエージェントから情報収集するのがいい。その情報を得るだけで自分の市場価値をある程度測ることができる。第二新卒は少子高齢化が進む日本においては、マーケットとしてかなり熱い。エージェントも親身になって相談に乗ってくれるはずだ。

下記の記事で転職エージェントを使うべき理由を簡単にまとめているので参考にしてみて欲しい。

まとめ

年収が下がる転職をすることでのリスクについて理解ができただろうか。繰り返しになるが、君の労働力(時間)は君の唯一の資産だ。時間は命だ。君の命を安売りしてはいけない。そしてこの記事を読んでいる10人に4人は転職アップを実現できるというデータもある。

転職活動は大変だ。現職の仕事をしながら時間を創り出し、書類を作成したり面接対策をする必要がある。さらに新卒の就職活動よりも内定を勝ち取るのが難しい。そもそも現状の職場に不満を持っており、環境を変えたいという思いから転職活動を始めたわけだから、内定をもらえれば「年収が下がっても転職してみようかな」と易きに流れてしまう気持ちが出る。ここで易きに流れては絶対にダメだ。一度年収が下がる転職をしてしまえば、次も年収が下がり、どんどん年収が下がる可能性が高い。転職はゴールではない。新たなスタートである。このスタート地点で有利に立つことが、君が人生で幸福を掴むことにつながるのだ。

そして、転職活動はノーリスクだ。確かに最初に職務経歴書を作ったり履歴書を作るのには時間がかかる。ただ、一度作ればすぐに転職エージェントのコンサルを受けることができ、自分のキャリアを見直すきっかけになる。そして若ければ若いほど転職市場における市場価値は高い。今日が人生における一番若い日だ。気づいた時にすぐに行動してほしい。

君の成功を心より祈っている。

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