ブラック企業の特徴と見分け方

業界/職種研究

こんにちは。シャチホコです。

世の中には、ブラック企業というものが存在する。ハラスメントが横行し、社員を洗脳し過酷な環境で労働させ、使い捨てるという最低な企業だ。人は脆い。この様な環境で働いていれば、人は簡単に壊れてしまう。人は一度壊れてしまうと、修復するまでにかなり時間がかかる。

現職に課題を感じ、転職活動を始め、せっかく掴んだ内定先がブラック企業で離職してしまうというケースは少ないことではない。君の身を守るため、そしてせっかく転職活動をしたのに、最悪なケースにならない様に、ここではブラック企業の特徴と見分け方について解説していきたい。

ブラック企業の定義とは?

ブラック企業における明確な定義は存在しない。しかし、一般的にブラック企業といわれるのは下記の様な状態である。

  • 長時間労働
  • セクハラ・パワハラの常態化
  • サービス残業や手当の未払いなどの違法労働の常態化
  • 採用・離職が繰り返され、社員が「使い捨て」になっている

怖いのは、自分の勤めている企業がブラック企業であることに気づいていない人が多いことである。なぜなら日本における転職率は未だ50%ほどであり、半分の人は一生を1つの企業で勤め上げている。1つの企業で勤め上げるということは、比較対象がないため、今いる環境が当たり前だと思ってしまうのだ。

自分の会社がブラック企業が見極めるチェックポイント

君が現在勤めている会社はブラック企業ではないだろうか。まずはそれをチェックするために、下記の項目がいくつ当てはまるかチェックしてみてほしい。

  1. 過去に法令違反がある
  2. 離職率が異常に高い
  3. ブラックにありがちな業界
  4. 1年中採用をやっている
  5. 未経験社の給与が高すぎる
  6. 精神論を好む
  7. 真夜中までオフィスの電気が付いている

上記のチェックが多ければ多いほど、ブラック企業である可能性が高いと考えてほしい。

もし君が上記に該当する企業に勤めていて、既に健康被害が及んでいるのであれば、下記の記事を参考にしてみてほしい。現状の環境を変えるための方法を記載している。

ブラックな業界とは?

ブラック企業ができるには理由が2つある。1つは企業文化、もう1つは業界の構造である。転職活動をしていると気づくことだが、業界によって給与は異なる。例えば、化学業界と旅行業界を比較してみてほしい。おそらく給与の水準が異なることに気づくだろう。それは、業界のビジネスモデルが違うことに起因する。ここで言いたいのは、業界の構造上ブラック企業になりやすい業界が存在するということだ。

業界の構造上、ブラック企業になりやすい業界には下記の3点の特徴が存在する。

  • 労働集約型である
  • 参入障壁が低い
  • お客様が個人

それぞれについて、解説していこう。

ブラック業界の特徴1:労働集約型である

産業には、下記の通り大きく分けて3つの産業が存在する。

  • 労働集約型産業:人間の労働力をベースとした産業。サービス業が代表例。
  • 知識集約型産業:人間の知識をベースとした産業。医薬品の開発やコンサル業界が代表例。
  • 資本集約型産業:資本がベースの産業。初期投資が大きい産業(通信・エネルギー)が代表例。

ブラック業界の特徴は、労働集約型産業であることだ。知識集約型産業や資本集約型産業との違いは、人間の労働力がベースとなっているため、いつまでたっても忙しいことにある。また、産業が発展すればするほど(需要が高まれば高まるほど)忙しくなることにも特徴がある。

ブラック業界の特徴2:参入障壁が低い

業界によっては、参入障壁が存在する。一般的に参入障壁が高い業界が給料が高く、参入障壁の低い業界は給料が安くなる。なぜなら、参入障壁が低い業界ほど競合他社が多く、熾烈な価格競争が繰り広げられるからだ。また、競争環境が熾烈ゆえに、倒産するリスクも高いと言える。

例えば、飲食業界と通信業界を広げてほしい。シャチホコモバイルという携帯電話のキャリアと、居酒屋シャチホコという飲食店を立ち上げるには、どちらが楽だろうか。当然、飲食業界である。そして飲食業界のライバルは無数に存在している。当然、熾烈な価格競争に追い込まれることになる。

この様に、業界には参入障壁が高い・低いといった特徴があることを覚えておいてほしい。

ブラック業界の特徴3:お客様が個人

世の中には、企業を相手にするto Bビジネスと、個人を相手にするto Cビジネスと2つ存在する。そのうち、to Cビジネスはブラック業界の特徴である。なぜなら、to Cビジネスのお客様はクレームモンスターになりやすいからだ。

to Cビジネス、to Bビジネス共に、人間を相手にするという意味では共通である。ただ、同じお客様でも違いがある。それは、企業の看板を背負っているか背負っていないかの差である。to Bビジネスにおいては会社の代表として取引をしているため、変な行動を取ることができない。一方で、完全個人のto Cビジネスにおいては、お客様が過剰に横柄な態度を取ることが多い。

「お客様は神様です」という言葉が存在する通り、勘違いしている個人客が多い。こんなクレームモンスターを相手にしていたら、当然心が疲れる。

ブラック業界の具体例

では具体的にブラック業界とはどこだろうか。その代表例は下記の通りだ。

  • 飲食業界
  • 旅行・宿泊業界
  • 小売業界
  • 投資用不動産業界

それぞれについて、簡単に解説していく。

ブラック業界の具体例1:飲食業界

上述したブラック業界の特徴3つのすべてが当てはまる業界だ。一般的に、世間の休み(土日、年末年始などの休暇期間)が繁忙期となるため、土日休みでないため人気がない業界だ。そのため、業界全体として慢性的に人員不足である。

また、容易にイメージできると思うが、ただでさえ面倒が多い個人客が酒を呑むことになる。より一層モンスターになる可能性が高くなるのだ。

ブラック業界の具体例2:旅行宿泊業界

最近話題となった、スーパーホテルの24時間365日拘束の話に代表される様に、この業界もブラック業界として有名だ。夜勤があるため、昼夜逆転して体調を崩してしまう人も多く存在するようだ。競争環境も当然熾烈で給料も安い。

一方で、旅行業界については華やかな業界である様に見える。しかし、調べてみるとわかるが、業界最大手であっても給料が安い。ビジネスモデルとして航空会社、ホテルといった複数の企業から手数料をもらうビジネスモデルになっているが、最近はオンライン予約の台頭により、価格競争がかなり激しくなっている。

ブラック業界の具体例3:小売業界

「安かろう悪かろう」の時代から、D2Cビジネスの台頭をはじめ、いかに良いものを安く売るかという時代になった。amazon、楽天、ZOZO TOWNといった大手ECサービスの台頭により、ユーザはわざわざ店頭に行かずとも買い物を行える時代になった。

基本的に数名の正社員が、複数のパートを動かしながら店舗を運営する構造になっているため、かなり大変だ。また、メーカーのクレームを受ける最初の窓口となるため、その点でも疲弊してしまうだろう。

ブラック業界の具体例4:投資用不動産業界

結論から言うと、投資用不動産業界の営業は儲かりもしない不動産を、たくみな営業トークで売るのだから心のバランスを取ることが難しい。千三つという言葉を知っているだろうか。不動産業界では有名な言葉だが、千件物件があれば、実際に儲かるのは三件ほどということだ。

不動産投資にある程度のリテラシーがある人なら分かるが、儲かる不動産は電話なんかの勧誘では来ない。なぜなら、儲かるとわかっているなら自分が購入するし、優良物件の情報は金持ちの元に集まる仕組みになっているからだ。

売れないから、営業に売らせる。そしてその給与体系は歩合制であることが多く、しかも目標達成に向けた圧力は異常なようだ。

ブラック企業の見分け方

ブラック企業に就職しないためには、ブラック業界を選ばないというのが鉄則だ。だがその一方で、ホワイトなはずの業界でもブラック企業は存在する。企業文化がブラック企業に染まっているのである。

そんなブラック企業を引き当てないために、ブラック企業の見分け方を解説していく。ブラック企業を見分けるためのツールは下記の3つである。

  • 求人情報
  • 就職四季報
  • 面接

それぞれについて解説していこう。

ブラック企業の見分け方1:求人情報

ブラック企業の求人情報には特徴がある。

  1. 情熱的、成長できる
  2. 長期間募集している
  3. 無駄に給料が高い

上記3点である。

情熱的、成長できる

結論から言うと、求人情報にやたらと「夢、やりがい、希望、仲間、成長」と言うような情熱的な言葉が散りばめられている場合は危険だ。なぜなら、抽象的なことばかり求人票に書いている=アピールできる事実が存在しないということである。平均残業時間、離職率、有給消化率が掲載されていない場合は特に注意だ。

そして、「若手が活躍中」というのも危険だ。社員の多くが入社して数年で離職してしまうため、30代の中堅社員がそもそも存在していないケースが多い。

長期間募集している

結論から言うと、1年以上の掲載期間がある求人票は要注意だ。社員が定着しないため、慢性的に人員不足で求人を出し続けているというケースがほとんどだからだ。

無駄に給料が高い

結論から言う。求人票を見て、「なんでこんなに給料がたかいんだろう」と思ったら、注釈まできちんと読み込んでほしい。そこには年俸制や裁量労働制といった文字が並んでいないだろうか。

簡単に言うと、残業代がきちんと支払われる仕組みになっているか確認すべきだ。裁量労働制とは成果に対して給料を支払う制度であるため、残業代がつかない。また、年俸制においては、みなし残業として残業代が包含されていることが多い。そのため、給料は高いが超長時間労働になってしまうケースが多いのだ。

ブラック企業の見分け方2:就職四季報

就職四季報とは、東洋経済社が独自の取材によって情報を収集し作成された、企業名鑑の様なものである。実際にどの企業で働く人間にインタビューして作成されており、かつ第三者的な観点から描かれているため信憑性が非常に高いのが特徴だ。

就職四季報には企業に関する様々なデータが記載されているが、ここで見るべきは下記の3点である。

  1. 3年後離職率
  2. 採用実績
  3. 残業時間

それぞれについて簡単に解説していく。

3年後離職率

結論から言う。3年後離職率が35%を超えている企業は危険だ。なぜなら、ブラック企業は社員を使い捨てだと考えているため、ブラック企業であればあるほど、この3年後離職率は高い。

3年後離職率とは、3年前に入社した社員が何人離職しているかである。一般的な企業の平均値が30%と言われている。業界によって高い低いの特徴が出るため、自分が応募したいと考えている企業が同業界の他の企業と比較し相対的に高いか低いかは確認しておくべきだ。

採用実績

結論から言う。新卒採用の比率が20%ほどだったら危険だ。なぜなら、ブラック企業は人が定着しないため、新卒で不足している人員を補充せざるを得ない構造があるためだ。

通常の場合、全社員の5~10%を新卒で構成するというのが普通だ。しかし、ブラック企業においてはこの数値が30%になるなんてこともザラにある。

残業時間

結論から言う。残業時間は参考程度に見ておけば良い。なぜなら、就職四季報に記載されている残業時間は雇用形態の差を考慮していない(一般職と総合職)。そのため、全体的に残業時間が少なく見える様になっているのだ。

また、ブラック企業の恐ろしい事実として、申請されていないサービス残業の存在がある。そのため情報を鵜呑みにせず、あくまで参考程度として確認しておくのがいいだろう。

ブラック企業の見分け方3:面接

面接の場でもブラック企業かどうかは判断することができる。チェックすべきポイントは下記の2点である。

  1. 面接官の態度が横柄
  2. 通過の難易度が低い

それぞれについて簡単に解説する。

面接官の態度が横柄

結論から言う。面接官が日頃部下に対して横柄な態度をとっていれば、その横柄な態度が垣間見える瞬間がある。なぜなら、部会に敬意を持って接していない場合、その態度は習慣化している場合が多いからだ。面接をしている最中に「あれ。なんかおかしいな」と思ったら要注意だ。

また、面接官が複数いる場合、その面接官同士の会話もチェックしてほしい。なぜなら、その2人の面接官の間には上下関係がある場合が多く、普段の業務内でのコミュニケーションが垣間見える瞬間だからだ。

通過の難易度が低い

結論から言う。やたらと簡単に面接が通過する企業は、ブラック企業である可能性が高い。なぜならブラック企業は採用できれば誰でもいい。故に君の人間性や適正はあまり気にしていない。

一般的に転職の面接は新卒の面接と比較し、難易度が高い。企業も即戦力となるポジションを求めているため、どうしてもその審査は厳しくなる。君の職務経歴や人間性について深く追及されることが普通だ。しかし、そんなことあまり気にされず、さらっと通過する面接がある。そんな時は要注意だ。

転職エージェントから情報を収集する

結論から言う。転職エージェントから、応募しようと思っている企業の文化や労働環境について情報収集すると良い。なぜなら、リアルな企業の情報を転職エージェントは持っているからだ。また、大手のエージェントであれば捻じ曲がった情報を君に伝えることはしない。

まだ転職エージェントに登録していない人向けに、転職エージェントについて簡単に解説する。

転職活動を始めると、転職サイトと転職エージェントと2つが存在することに気づくだろう。例を挙げると、リクナビNEXTとリクナビエージェントの違いである。

転職サイトと転職エージェントの違いは?

ここで、君たちがすべきことは、転職エージェントに登録することだ。転職サイトには登録しなくてもいい。転職サイトと転職エージェントの違いは、下記の通りだ。

  • 転職サイト:自分で公開求人を見て、興味のある求人に応募する
  • 転職エージェント:転職のプロが君に合った求人を提案してくれる

転職エージェント利用の際に気をつけること

転職エージェントのビジネスモデルは、転職希望者が企業に転職したタイミングで初めてエージェントに報酬が入る。君たち転職希望者には全く費用が発生しない仕組みになっている。逆を言えば、転職が成立しない限り、転職エージェントに報酬が発生することはない。故に、転職エージェントは基本的に転職することを勧めてくる。

また、その中でも転職エージェントにとって楽な転職は「給与が下がる転職」だ。転職先の企業にとっては、他の企業で高い給料をもらっていた優秀な人材が手に入るため、合意がしやすい。故に、安易に給与が下がる転職を提案してくるエージェントには注意が必要だ。

転職エージェントをうまく利用する

上記の注意点を踏まえ、転職エージェントとはうまく付き合おう。

まずは第二新卒でどんな企業がどんな求人を出しているのか。今のトレンドの業界、求められているスキルをエージェントから情報収集するのがいい。その情報を得るだけで自分の市場価値をある程度測ることができる。第二新卒は少子高齢化が進む日本においては、マーケットとしてかなり熱い。エージェントも親身になって相談に乗ってくれるはずだ。

まとめ

ブラック企業がこの世に存在し、どんな特徴を持っているか理解できただろうか。ブラック企業に入社しない様にするために、自分の身は自分で守るしかない。また、仮に君が既にブラック企業に勤めている場合、すぐにその環境から脱出する計画を立ててほしい。

なぜなら、冒頭にも記載している通り、人は一度壊れてしまうと、修復するまでにかなり時間がかかるものだ。人生は100年時代だと言われている。これからも君は働き続けないといけない。そのために大切にしないといけないのは、君の体だ。目先の給料の高さややりがいなんて、体が壊れた時の損失と比べれば、比較対象にならない。

社会というのは時に残酷である。自分でその荒波を超えていかないと、飲み込まれてしまう。会社は君を守ってはくれない。君がいなくても会社は経営できる。しかし、君が健康でいないと君の人生は運営できない。自分を大切にしてほしい。

君の成功を心から祈っている。

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