こんにちは。シャチホコです。
僕自身もそうでしたが大企業に勤めていると、「大企業はスキルがつかないから転職ができない」なんて言葉を耳にします。しかし僕の経験上、どこに転職するかにもよりますが大企業に勤めているからといって不利になるということはありませんでした。
この記事では僕の経験と大企業の現役の人事部の友人からの話を元に、「大企業からの転職は不利ではなくむしろ有利」ということについて解説していこうと思います。
▼大企業から転職する主な理由
まずそもそも大企業からの転職理由の主なものについて解説していこうと思います。大企業から転職する人は、いずれも大企業ならではの悩みや課題を抱えていることが多いです。
・職場の人間関係が悪い
1つ目は職場の人間関係が悪い点です。仕事において一番のストレスはこの人間関係です。仲間同士が助け合わなかったり、仕事を押し付け合ったり、上司になかなか相談しにくい環境など、人間関係の悩みはつきません。
ただ、この人間関係の問題はそう簡単に解決することはありません。というのも、大企業では部内の人間が総入れ替えになることはまずありません。大企業の定期異動は主に2-3年に1度ですし、30代を超えてくると部内でも中心的な存在になることが多く、20代の時ほど定期異動もなくなるためです。
・残業の多いブラックな部署に配属になった
次に残業の多い部署に配属になったことです。大企業に就職する人の多くは「安定しているから」「ライフワークバランスが取りやすいから」という理由で転職しています。それを目的に入社しているにも関わらず、残業地獄のブラックな部署に配属になると一気にモチベーションが下がります。
これは大企業ならではの「配属ガチャ」が原因となっており、いつどの部署に行くかわからないという仕組みに問題があります。ちなみに僕自身もこの配属ガチャにハズれてブラックな部署に配属になり、転職を決意しました。
配属ガチャに関する記事は下記にまとめているので、参考にしてみてください。
・他社で通用するスキルが身についていない
これは自身のキャリアをきちんと考えているような意識の高い人に比較的多いのですが、大企業だとスキルが身に付きにくいという理由から転職を考える人も少なくありません。特に今は終身雇用が崩壊し、大企業でもリストラが進んでいるためいつ自分がリストラの対象になるかわからない怖さがあります。
しかし、この「大企業だとスキルがつかない」という考えは間違っていて、働く会社の規模ごとに身に付くスキルが変わるだけです。つまり、大企業には大企業ならではのスキルがつくというメリットがあります。
・自分の行きたい部署にいつまで経っても行けない
最後に自分の行きたい部署にいつまで経っても行けないという理由です。やりたいことを明確に持ち入社した人ほど、この理由で転職する人が多いです。実際に僕の後輩も大学時代に留学経験があり、入社後グローバルな部署を希望していたのですが、実際は地方を行脚するキャリアでした。そんなキャリアに嫌気が差し、外資系企業に転職したという例もあります。
自分の行きたい部署に唯一行ける方法としては、社内公募の制度がありますが、その部署からそもそも求人が出ないといけないですし、出ても枠が少ないため競争倍率が非常に高くなるという問題があります。社内公募については下記の記事でまとめているので、参考にしてみてください。
▼大企業からの転職は有利なのか?
大企業からの主な転職理由が整理できたところで、次に大企業からの転職の常識についてマインドチェンジしたいと思います。
・大企業はスキルがつかないから転職しにくい?
まずすでに述べた通り、大企業ではスキルが身につかないため転職しにくいというのは嘘です。大企業には大企業ならではのスキルが身につくため、それを武器に転職することは可能です。
具体的にいうと、マネジメントスキル、調整力、コミュニケーション能力です。大企業では大きな案件を大人数で回していく傾向があるので、多くの関係者と協力しながら仕事を進める必要があります。この経験が大企業ならではのスキルを身につけてくれるのです。大企業で身に付くスキルについては、下記の記事にまとめているので、参考にしてみてください。
・大企業への転職者はベンチャー企業が多い?
僕の前職や今の職場はいわゆる大企業なのですが、転職者の出身企業のほとんどがいわゆる名の通った大企業です。つまり、この事実から少なくとも大企業から大企業への転職は可能だということが言えます。
世間一般的には「大企業は大企業にいないような人材を欲しがっている」というイメージを持つと思いますが、実態は大企業からの転職がほとんどなのです。
▼【実体験】現役人事に聞いた!大手企業からの転職が有利になる理由
大企業でもスキルがつくこと、大企業への転職者は大企業出身者が多いことは理解できましたが、大企業からの転職はなぜ有利になると言えるのでしょうか?その理由について掘り下げて解説していこうと思います。
・大企業出身者には一定の信頼がある
まず大企業の出身者には、一定の信頼があるということです。他の大企業がその人を採用し、教育してきたという事実があります。また、一定の実績を残していれば問題なくその企業内で仕事ができていたと言うことになります。
他の大企業で通用していた人材=優秀な人材ですし、他の大企業で活躍してきたという事実が一定の信頼となるとのことでした。
・大企業出身者の方が協調性が高い
仕事を進めるには、「関係者と協力しながら円滑に業務を進めることができる」協調性がとても大切です。大企業では大きな案件を担当するため、多くの関係者と仕事をしてきた経験がある人が多いので、協調性の高い人物として評価を得られることが多くあるようです。
特に大企業ではベンチャー企業のような「尖った人材」よりも、協調性の高い人材が評価される傾向があるようで、それは多くの人と協力しながら大きな案件を進めることが多いという仕事の進め方の特性にあるようです。
・大企業ならではの大きな実績が作れる
大企業ではベンチャー企業やスタートアップと比較して大きな実績を作りやすいという特徴もあります。それは企業の規模が大きいからなのですが、営業実績にしても企画として担当していた案件にしても規模が大きくなると、すごいことをやってのけたように見えるものです。
大企業で働いている限り、自分1人で案件を全てをやり遂げるということはほとんどないのですが、中心メンバーの1人として業務をやっていればその案件については誰よりも詳しく話すことができます。そのため、面接の際にも評価を得やすくなるのです。
・大企業ならではのスキルを持っている
前述しましたが、大企業ならではのスキルを持っていることも評価されます。特にプロジェクトマネジメントやマネジメント層のポジションでは高く評価される傾向があるようです。大企業で身に付くスキルについては、下記の記事にまとめているので、参考にしてみてください。
・社会人としての基礎が身についている
最後に社会人としての基礎が身についているという点が評価を受けるようです。大企業はベンチャー企業やスタートアップ企業と比較して社員教育にも力を入れています。
僕も実際にそれは実感しており、新卒で入社した際の新入社員研修に加えて、20代は毎年のようにスキルアップ研修というものがありました。いずれも外部講師による研修で結構な費用がかかっているようです。また、配属後もメンターが付き「社会人とは」について細かく指導してくれるという点も社員教育の環境が整っている大企業ならではの特徴です。
▼大企業からの転職で不利になるケース
一方で大企業からの転職が不利になるケースも一部存在しているのも事実です。ここではどのようなケースにおいて、大企業からの転職が不利になるかについて解説していきます。
・1人でできる業務範囲が狭いと判断される
大企業は1人が担当する業務範囲が狭いという特徴があります。例えば営業1つとっても、営業は取引先との相対という意味での営業活動しかしません。一方でベンチャーやスタートアップにおいては、営業と言えばプロモーション企画、収支管理、時には委託先の人材採用など幅広く業務を行っています。
ベンチャーやスタートアップにおいては、大企業と比較して業務範囲が広くなるまで、大企業での狭い業務経験がネガティブに受け取られてしまうことがあるのです。
・業界や職種を変えると通用しないと思われる
業界や職種を変えると通用しないと思われるのも大企業の特徴です。というのも、大企業の社員というのは大企業の看板を背負っているというのが大きく、取引先や営業先とのコミュニケーションを有利に進められます。
逆をいうと、過去の実績も個人の実力ではなく会社の実力だと見られてしまうことが多く、業界や職種を変える際に「過去の実績の再現性が低い」と受け取られてしまうことがあるのです。
・スタートアップの社風に合わないと思われる
大企業とスタートアップやベンチャーとの社風は大きく異なります。違いは色々な部分にあり、上司との関係性や勤務形態、服装なども異なりますが、1番は年功序列か実力主義かということです。
ベンチャーやスタートアップは大企業と異なり、自分より年下の人間が自分の上司になることが当たり前のように起こります。また、昨日まで部下だった人間が上司になることも起こり得ます。こういった社風に大企業出身者が適応できない事例も出てきているため、大企業出身者は社風に適応できないというイメージが一定ついているようです。
・スタートアップのスピード感についてこれないと思われる
大企業とスタートアップでは仕事の進め方は違います。これは安定している大企業と比べ常にスタートアップは競争に晒されているという環境の違いにあります。そのため仕事を進める際のスピード感が全く異なるのです。
例えると大企業は色々な人の承認を得ながら進める「石橋を叩いて渡る」進め方なのに対し、スタートアップはともかく仕事を前に進め「間違いがあることを前提に、走りながら修正していく」パターンです。転職者の年齢によりますが、大企業で仕事を進めてきた経験が長いと、スピード感について来れないと判断されることがあるようです。
・前職の給料が良すぎると避けられる
最後に前職の給料が良すぎる点です。一般的に転職する際の給料の基準となるのは、前職の給与水準です。そのため、大企業の社員を採用しようと思うと大企業同等の給料を支払う必要があります。
会社からすると、「高い給与を払っても、求めるパフォーマンスを得られるか」という点で疑問が残ります。また仮に高いパフォーマンスを得られなかった際に周りのメンバーから不満の声が出ることも想定されます。そういう意味で前職の給料が良すぎると敬遠される可能性があるのです。
▼大企業から転職する際の主要なパターン
では大企業から転職するパターンとしては、どのようなパターンがあるのでしょうか。そのパターンについて解説していきます。
・大企業からスタートアップやベンチャー企業へ転職
もう1つがベンチャー企業やスタートアップに転職するパターンです。中には自分で起業するケースも存在しています。転職の目的が「自分にスキルを身につけたい」「自分のやりたいことを実現したい」というケースで多い転職のパターンです。
大企業と比較すると若いうちから裁量を与えてもらえ、実力次第で若くても昇格できる環境であるため、成功すれば仕事に大きなやりがいを得られることもあります。一方で大企業と比べると労働環境が整っていない分、様々な点で安定がないのは事実です。
・大企業から大企業へ転職
僕自身もこれだったのですが、大企業から大企業に転職するパターンです。転職する目的を「ライフワークバランスを取れるようにするため」という理由で多い転職のパターンです。
給与水準もあまり変わることなく転職が可能となり、大企業なので安定を得られれるという点ではリスクを減らしながら転職できる方法です。一方でやりたいことの実現や給与の大幅な改善は難しいという面もあります。個人的にはこの転職ルートがおすすめで、その理由については下記の記事でまとめているので、よければ参考にしてみてください。
▼大企業から転職するときの注意すべきこと
これは僕の経験上言えることですが、大企業からの転職には覚悟が必要です。安定した環境を捨てて新しい環境に行くという事実にとても迷います。ここでは大企業から転職する際に覚悟すべき点について紹介します。
・給料が下がる可能性がある
まずは当然ながら給料が下がる点があるということです。大企業は通常の給料に加えて、扶養手当・住宅手当・単身赴任手当など様々な手当がつきます。そのため額面上給与が上がっても手当を考慮すると、損してしまうこともあります。特に大企業と比較して福利厚生が整っていないベンチャーやスタートアップでは、損をしてしまうケースも多いので注意が必要です。
・労働環境が悪化する可能性がある
今より労働環境が悪化する可能性があるということも念頭におく必要があります。大企業は他の企業と比較すると、社内のコンプライアンスへの意識も高く、パワハラやサービス残業に厳しい傾向があります。また労働組合が形成されていることも多く、何かあれば組合に相談し組合経由で会社に異議申し立てをしてもらえます。
大企業を出て初めてわかることですが、「自分の環境は恵まれていたな」ということを実感します。労働環境が悪化する可能性があるということについても覚悟が必要になるのです。
・一度退職すると元には戻れない
そして一度退職すると元には戻れないということです。この事実と向き合うと僕自身もそうでしたが、かなり覚悟が必要です。そのため転職には転職を通じて何を手に入れたいのかを明確にする必要があります。
そうしないと「何のために自分は転職したのだ」となりまた転職を繰り返すことになるからです。給料もよく、ホワイトで、残業も少ないような企業は存在しません。何かを手に入れることは何かを捨てるということを転職の際には肝に銘じておく必要があります。
▼大企業からの転職で成功するコツは?
最後に大企業からの転職を成功させるコツについて解説していきます。
・大企業ならではのスキルをアピールする
まずは自分のスキルや経験をアピールする際に「大企業ならでは」の部分をアピールすることです。具体的には前述した大企業でしか身につかないスキルや、大企業だからこその規模感の実績をアピールすることがポイントです。
・退職理由は前向きな理由にする
退職理由については、前向きな理由を明確に考えておきましょう。採用担当からすると、「大企業の環境を捨ててまでなぜうちに入りたいんだろう。何か問題があったのかな?」と疑問に思うのが本音です。
そのため、自身が成し遂げたいことの実現やスキルアップのためなどdカードは前向きな理由に設定することが肝要になるのです。間違っても前職批判は絶対にしないようにしましょう。
・転職エージェントをうまく利用する
最後にあなたが大企業から転職する時に使うべきおすすめエージェントについて解説します。僕は転職する時に約20社の転職エージェントと会いましたが、そこで気づいたのは、「大企業から転職しようと思うと、多くの企業と繋がっているエージェント」でなくてはなりません。
転職エージェントは無数に存在しています。中には何でもいいから転職させようとする悪徳エージェントも多数存在しています。あなたが信頼できるエージェントを見つけ、相談するようにしましょう。
▼まとめ
大企業からの転職は有利にも不利にもなります。そのポイントは大企業ならではのスキルや実績をしっかりとアピールしていくことです。そのためには自分が行きたい企業が求める人物像を正確に把握しましょう。
また、大企業から転職する際には安定を捨てる覚悟が必要です。その覚悟をはっきりさせるために転職で捨てていいものと手に入れたいものを明確にしましょう。
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